相続人同士で遺産分割の方法を話しあっても、合意できず協議が整わないケースは少なくありません。
そんなとき、どのようにして遺産分割を進めていけば良いのか、弁護士が解説します。
1.遺産分割調停を申し立てる
遺産分割協議を成立させるには「相続人が全員合意」する必要があります。1人でも反対したら協議は成立しません。また連絡の取れない相続人がいるケースでも遺産分割協議を進められません。
そのようなときには、家庭裁判所で「遺産分割調停」を申し立てましょう。調停では裁判所の調停委員が紛争当事者の間に入って調整をしてくれるので、自分たちで話し合って解決できない事案でも合意できる可能性があります。
2.遺産分割調停の流れ
2-1.遺産分割調停の申立て
遺産分割調停を行うには、まずは家庭裁判所で「調停申立て」を行います。管轄裁判所は、相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。被相続人1人について1,200円の収入印紙を貼り調停申立書を提出しましょう。被相続人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本類や住民票除票、相続人の住民票などの書類も必要となります。
2-2.第1回期日
調停を申し立てると、1か月くらい後に第1回の調停期日が指定されます。その日に裁判所に行くと、通常は相手方も来ており、調停委員を介して話し合いを行います。1回で合意できるケースは少ないので、次回以降の期日が指定されます。
2-3.2回目以降の期日
2回目以降も話し合いを継続します。調停委員から調停案の提示を受けられるケースもあり、両者が受け入れればその内容で調停が成立します。
何度話し合っても相続人全員が合意できず、「調停委員による調整では解決できない」と判断されると調停は不成立になって終了します。
3.遺産分割調停が不成立になったら「審判」で決定される
遺産分割調停は、不成立になると自動的に「審判」という手続きに移行します。審判になると、裁判官がそのケースで妥当と考える遺産分割の方法を指定します。
審判の場合には、ほとんど必ず法定相続分通りに分割されます。ただし特別受益や寄与分が認められる場合、それらについても評価された割合となります。
審判で有利な結果を獲得するには、裁判官に自分の希望内容が適正であることを理解してもらわねばなりません。そのためには法律的に正しい主張とその事実を証明できる証拠資料の提出が必要です。
遺産分割調停や審判を有利に進めるためには、弁護士によるサポートが必須です。調停で弁護士をつけていると調停委員を味方につけやすくなりますし、調停段階から適切な主張と資料提出を行うことによって、審判になっても有利な判断を獲得しやすくなるものです。
遺産分割協議をしても合意できそうにない場合には、できるだけ早い段階で弁護士までご相談下さい。