請求できる遺留分の計算式

遺留分を侵害されて「遺留分侵害額請求」をするときには、「遺留分侵害額」を明らかにしなければなりません。

そのためには、まずは遺産を評価した上でケースごとの遺留分の割合をあてはめて、正確に金額を算定する必要があります。

この記事では、遺留分の計算方法をご説明していきます。

 

1.遺産の評価

遺留分侵害額を計算するには、まずは「遺産の評価」が必要です。

預貯金や現金であれば額面額が評価額となりますが、不動産や株式などの場合、金銭的に評価しなければ遺留分の計算ができません。

遺留分の対象資産は、基本的に「相続開始時の時価」によって評価するので、財産内容に応じて評価額を決定していきましょう。たとえば不動産の時価であれば、まずは不動産会社に査定書を出してもらって確定する方法が一般的です。

 

2.遺留分の割合を算定

遺留分対象資産の評価ができたら、次に遺留分の割合を明らかにします。

遺留分の割合はケースに応じて異なるので、正しい割合をあてはめなければなりません。

遺留分の計算は、「総体的遺留分」と「個別的遺留分」の2段階で進めていく必要があります。

総体的遺留分は、そのケースで全体としてどの程度の遺留分が認められるのか、個別的遺留分はそれぞれの遺留分権利者にどの程度の遺留分が認められるのかという割合です。

総体的遺留分の割合は、以下の通りです。

  • 直系尊属のみが法定相続人になるケース

→遺産全体の3分の1(民法1042条1項1号)

  • それ以外のケース(直系卑属のみの場合、直系卑属と配偶者の場合、直系尊属と配偶者の場合、配偶者のみの場合)

→遺産全体の2分の1(民法1042条1項2号)

個別的遺留分を計算する際には、上記をさらにそれぞれの遺留分権利者の法定相続割合で割り算します。

 

3.遺産評価額に遺留分の割合をかけ算する

遺産の評価額が明らかになり、遺留分の割合を計算できたら、遺産評価額に遺留分割合をかけ算することによって遺留分侵害額を計算できます。

 

4.具体的な遺留分侵害額の計算

以下では、遺留分侵害額の計算例をご紹介します。

 

不動産と株式が残され、妻と母親が相続するケース

会社経営者である夫が死亡し、不動産と株式が残され、遺産評価額は合計で3600万円とします。妻と母親が相続人ですが、愛人にすべて遺贈する遺言書が残されました。

この場合、妻と母親の遺留分はいくらになるのでしょうか?

総体的遺留分は2分の1です。

妻の遺留分は2分の1×3分の2=3分の1

母親の遺留分は2分の1×3分の1=6分の1

よって妻に認められる遺留分侵害額は3600万円×3分の1=1200万円、母親に認められる遺留分は3600万円×6分の1=600万円となります。

妻は愛人に対して1200万円、母親は愛人に対して600万円をそれぞれ請求可能です。

遺留分請求を検討する際、なるべく有利な方法で解決できるようにお早めに弁護士までご相談下さい。

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