遺産相続の流れ(遺言がある場合)

遺産相続の流れ(遺言がある場合)相続が発生したら、遺産分けや不動産の名義変更などの相続手続きを進めていかねばなりません。

相続手続きの進め方は遺言があるかないかで大きく異なります。

以下では遺言がある場合の相続の進め方をご説明します。

 

1.遺言書の検認を申し立てる

残された遺言書が自筆証書遺言や秘密証書遺言だった場合、遺言書の検認を受けなければなりません(民法1004条1項)。検認を受けずに勝手に遺言書を開封すると、「過料」という行政罰を与えられる可能性もあります(民法1005条)。被相続人の最終住所地の家庭裁判所で検認を申立て遺言書の検認を受け、検認済証明書をつけてもらいましょう。

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2.遺贈を受けるかどうか判断する

遺言によって財産を遺贈された場合でも、必ず遺贈を受けなければならないわけではありません。受遺者は、遺贈の放棄をすることができます。

ただし「遺産を全部〇〇に与える」「遺産の〇分の〇を〇〇に与える」など、遺産を特定せずに包括的に遺贈された場合には、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する(民法990条)ことから、遺贈を受けたと知ってから3か月以内に家庭裁判所で遺贈放棄の申述をしなければなりません(民法915条)。

一方「〇〇の不動産を遺贈する」などと遺産を特定して遺贈された場合には放棄に期限がありません。受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができます(民法986条1項)。

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3.準確定申告を行う

被相続人が確定申告の義務者で年の中途で死亡した場合には、相続人(包括受遺者を含む。)が代わって確定申告を行う必要があります。その手続きを「準確定申告」と言います。

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4.遺言が無効と考えるなら遺言無効確認の手続きを行う

相続人の中に「遺言書は無効」と考える人がいたら、遺言無効確認調停や遺言無効確認訴訟などの方法によって遺言が無効であることを確定させる手続きを行います。

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5.遺言書に従って相続手続きを進める

遺言書が有効な場合には、遺言書の内容に従って相続手続きを進めます。不動産であれば名義変更や売却、預貯金であれば名義変更または解約払戻し、株式であれば名義変更または売却と金銭受け取り、自動車であれば名義変更や売却などを進めます。

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6.相続税の申告と納税をする

遺贈を受けた場合にも相続税が発生します。相続税の申告納税期限は「相続開始から10か月以内」(相続税法27条)なので、必ず期限内に行いましょう。

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7.遺留分侵害額請求を行う

遺言によって特定の相続人や受遺者に遺産が集中し、本来の法定相続人の取得分が減らされる事例は多々あります。その場合、取得割合を減らされた相続人は自分の取得分を侵害した受遺者や相続人に対し「遺留分侵害額請求」ができます(民法1046条)。遺留分侵害額請求とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる最低限の遺産取得分である「遺留分」の金銭賠償を請求する権利です(民法1042条)。

遺留分侵害請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅します。また、相続開始の時から十年を経過したときも、同様です(民法1048条)。

遺言がある場合でも、遺言書によってすべての遺産の分け方が指定されていない場合、残りの部分については遺産分割協議が必要です。遺産相続手続きを進める際の参考にしてみてください。

 

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