両親が亡くなるなどして子どもが一人で残される場合「未成年後見人」が必要となります。
今回は、なぜ未成年後見人が必要となるのか、また選任すべきケースはどういった場合なのか、弁護士がご紹介していきます。
1.未成年後見人が必要なケースとは
未成年後見人が必要になるのは、未成年者の親権者がいなくなった場合です。
通常、子どもに対しては親が「親権」を持っており、親権者として適切に子どもの権利を守っています。子どもの財産を適切に管理し、身上監護も行います。
親が親権を行使するのは、子どもはまだ判断能力が未成熟なので自分一人で財産管理を行うと不利益を受ける可能性があり、一人で身の回りのことを行うことも困難だからです。
しかしときには親権者がいなくなってしまうケースがあります。そのようなとき、誰も未成年者の権利を守る人がいない状態で放置されるのは不都合です。そこで、未成年後見人が親権者に代わって未成年の財産管理や身上監護を行います。
親権者がいない場合とは、具体的に以下のようなケースです。
- 両親とも死亡した
事故や病気などで両親とも死亡してしまったら、親権者がいなくなるので未成年後見人が必要です。
- 離婚後、親権者が死亡した
離婚すると一方の親が親権者となりますが、その親が死亡すると親権者がいなくなってしまいます。
- 親が親権を喪失した
親がいても虐待などの問題行為があって親権を喪失した場合には親権者がいなくなるので未成年後見人が必要です。
2.未成年後見人が必要な理由、具体的な不都合について
親権者がいない場合、なぜ未成年後見人が必要なのでしょうか?
現行民法は20歳(令和4年4月1日からは18歳成人)をもって成年とすると定めるとともに、未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならないと定めています(民法4条、5条1項)。
未成年後見人がいないと、具体的にどういった不都合が発生するのか、見てみましょう。
2-1.未成年者名義の預金を作れない
未成年者は、行為無能力者であるため、法定代理人の関与無く、単独で自分名義の銀行預金を作ることができません。未成年後見人がいないと、未成年者名義の預金口座を作ったり利用したりできず不便です。
2-2.未成年者が事故などに遭っても損害賠償請求できない
未成年者が交通事故などの被害に遭ったら、加害者へ損害賠償請求できるはずです。しかし、未成年者は、行為無能力者であるため、法定代理人の関与無く、単独で賠償請求することはできず、未成年後見人がいないと賠償金を受け取ることができません。
2-3.未成年者が勝手にした契約を取り消せない
未成年者が自己判断で自分に不利な契約をしてしまったとき、親権者や未成年後見人がいたら取り消すことができます。しかしそうした人がいなかったら、代わりに取消をする人がいません。未成年者本人が取り消すことは可能ですが、そうした判断がで
以上のようなことから、未成年者に親権者がいない場合には必ず未成年後見人が必要であるとわかっていただけたでしょう。身近に親を亡くして後見人がいない子どもなどがいらっしゃる場合、対処方法をアドバイスいたしますのでお気軽に弁護士までご相談下さい。