未成年後見人に選任された場合、具体的にどのような流れで職務を進めていけば良いのでしょうか?
未成年後見人には未成年者の財産を善良なる管理者の注意をもって適切に管理しなければならない義務があり、定期的に裁判所へと報告を行う必要もあります。就任するからにはその職務内容をしっかり理解しておきましょう。
今回は未成年後見人の職務内容について、詳しく解説していきます。
1.未成年後見人の2つの職責
未成年後見人には、2つの職責が課されます。1つは財産管理、もう1つは身上監護です。
財産管理とは、未成年者の財産を適切に管理し、契約関係などを代理したり取り消したりすることです。
身上監護とは、未成年者の居住場所を決定したり受けるべき教育内容を決定したりすることです。
2.善管注意義務
未成年後見人には「善管注意義務」といって、自分のもの以上に慎重に未成年者の財産を管理すべき責任が課されます(民法869条・644条)。適当な管理方法によって未成年に損害を与えたら、損害賠償請求をされる可能性もあり、注意が必要です。
また未成年者の財産を使い込んだ場合には、「業務上横領罪」という犯罪が成立する可能性もあります。
3.未成年後見人選任から終了までの職務内容
3-1.就任当初の職務内容
未成年後見人として選任されたら、まずは未成年者の財産内容を調査し「財産目録」を作成しなければなりません。同時に今後後見を行う上で未成年者にかかる支出と収入を明らかにして、収支予定表も作成します。支出としては、未成年者の生活や教育、財産管理にかかる費用などが主となるでしょう。
財産目録や収支の予定表は就任後1か月以内に作成し、家庭裁判所へ提出します(民法853条)。
3-2.就任中の職務内容
その後は実際に未成年者の財産管理と身上監護を行っていきます。祖父母などの親族が未成年後見人となる場合には未成年者と一緒に住んで実際に監護養育を行うケースが多数です。
弁護士などの専門家が未成年後見人となる場合、実際には一緒に住まず、子どもの財産管理や入所先の施設、進学先の決定などが主な職務内容となります。
また就任中も、定期的(1年に1回)に家庭裁判所に対し、財産目録や収支予定表を提出する必要があります。
3-3.未成年後見が終了したときの事務
未成年後見は、以下のような事由によって終了します。
- 未成年者が成人したとき
- 未成年者または未成年後見人が死亡したとき
- 未成年者が婚姻したとき(成年擬制)
- 未成年者が養子縁組して養親ができたとき
任務が終了した場合、未成年後見人は10日以内に市区町村役場へ届け出る必要があります(戸籍法82条)。
預かっていた財産については、未成年者が成人または婚姻した場合には未成年者へと引継ぎ、未成年者が養子縁組した場合には養親へと引き継ぎます。
未成年後見人の選任方法や就任中の職務内容についてご不明な点がありましたら、弁護士がご説明いたします。お気軽にご相談下さい。